1. はじめに

江輝
前回は、ビットコインのトランザクションがどのように作られ、承認され、ブロックにまとめられるかを一通り見てきましたね。今回はそのブロックチェーン技術が、実際にどんな場面で活用されているのかを見ていきましょう。

結
ブロックチェーンの仕組みを学んだら、今度はそれが「どう使われてるか」ってことですよね。いまのところあまりピンと来ていないので、授業が楽しみです。

江輝
実はブロックチェーンは、通貨だけでなく、アートやゲーム、さらには選挙や医療まで、さまざまな分野で使われ始めています。まずはやはり、ブロックチェーンを代表する存在「ビットコイン」の活用から振り返ってみましょう。
2. ビットコイン:仲介者をなくす通貨の仕組み

江輝
これまで、銀行などの仲介者がいなければ、他人にお金を送るのは難しいとされていました。ところがブロックチェーンでは、その役割を「ネットワーク全体」が担うことで、銀行なしに送金が可能になります。


結
トランザクションをみんなで確認して、ちゃんとブロックに記録して…そうやって送金するってことなんですよね。

江輝
そうです。そしてこの仕組みによって、国境を越えた送金や、銀行口座を持たない人々にも金融サービスを届けることが可能になりました。新興国ではスマートフォンだけでビットコインを使う事例も増えています。

結
いままでお金が届かなかった人にも、ブロックチェーンで届くようになるって…すごいことですね!
3. NFTとデジタルアート:本物を証明する技術

江輝
次は、ブロックチェーンの「改ざんできない記録」という特徴を活かした活用例です。最近、アートの世界で「NFT」という言葉を聞いたことはありませんか?

結
あ、あります!SNSで「このデジタル絵が○○万円で売れた!」みたいな投稿を見たことがあります。

江輝
そのとおり。NFT(非代替性トークン)は、ブロックチェーン上に記録された「唯一無二のデジタル証明書」です。たとえばあるイラストをNFT化すると、その所有者や過去の売買履歴がブロックチェーンに記録され、誰でも確認できます。


結
コピーはできても、「本物はこれ」ってちゃんと証明できるんですね!

江輝
そうです。しかも、この記録は誰にも改ざんされません。アーティストにとっても、自分の作品が誰の手に渡ったのか追跡できるのは大きな価値です。

結
私の作品も、NFTにして販売できたら…なんて夢が膨らみます!
4. ゲームとアイテム経済:プレイヤーが本当に所有する

江輝
ゲームの世界でもブロックチェーンは注目されています。これまでのゲームでは、アイテムやキャラクターのデータは全て運営企業のサーバーに保存されていました。

結
たしかに、ある日ゲームが終了したら、今まで集めたアイテムが全部消えちゃったこともあります…

江輝
そこで登場するのがブロックチェーンゲームです。ゲーム内のアイテムをNFTとして管理することで、プレイヤーがその所有者として記録され、自由に売買できるようになるのです。


結
ということは、ゲームの世界で手に入れたものを、他のプレイヤーに売ったり、別のゲームに持ち込んだりできるんですか!?

江輝
実現されつつありますね。アイテムに経済的価値がつくことで、「プレイが資産になる」時代が到来しつつあるのです。

結
遊んでたらおこづかいが増える…夢みたいです!
5. 社会インフラへの応用:投票・医療・物流

江輝
最後に、少し社会的な話題にも触れておきましょう。ブロックチェーンは、信頼性と透明性が求められる分野にも応用されています。

結
どのような分野で利用されているのでしょうか?


江輝
たとえば「選挙」です。投票内容をブロックチェーンに記録すれば、改ざんされず、誰がいつ投票したかも記録に残る。しかも投票結果をリアルタイムで公開できるシステムも構想されています。

結
それは…すごく大事な使い方ですね!

江輝
他にも、医療では「電子カルテの共有」に。物流では「製品の出どころを記録する」ことに使われています。つまり、どの農場で育てられ、どの工場を経由し、どの店に届いたか──全てが記録されるわけです。

結
買ったコーヒー豆がどこの畑で育ったかも分かるってことですか!?

江輝
ええ。消費者にとっては安心材料になりますし、生産者にとっては品質を証明する手段にもなりますね。
6. まとめ

江輝
本章で学んだことを整理しましょう。
- ビットコインは中央管理なしで送金できる、分散型通貨
- NFTはデジタル作品やゲームアイテムの「本物性」を保証する
- ゲームやアートだけでなく、投票や医療、物流など幅広い分野に応用されている

結
「どこでも使える技術」って、こういうのを言うんですね。次の講義もすごく楽しみです!

江輝
次章では、ブロックチェーンの利点や直面している課題、そして将来の展望について考察していきます。今後も一緒に学んでいきましょう。